粕本集呆の「競馬の花道」

カスPこと粕本集呆と逆神の権兵衛による、日本で唯一、当たらないことを"売り"にしている競馬予想ブログ。

高知競馬「黒船賞」予想と、塚本雄大騎手逝去について。

高松宮記念の結果についてはまた日を改めて。

 

高知競馬の塚本雄大騎手が落馬事故によって死去。享年25。

愛知(名古屋けいば)の塚本征吾は弟。また、長男弘隆も金沢、三男涼人も岩手で騎手という、四兄弟それぞれが違う競馬場で騎手という一家。私は高知は「黒船賞」くらいしか買わないので、塚本雄大騎手についてはあまり馴染みはないのですが、弟の征吾は笠松開催のときは毎日のように乗りに来るし、悔しいが笠松の若手より技量があり、重賞でもよく笠松所属馬の手綱を任される。

何より塚本雄大騎手の所属厩舎が目迫(めさく)大輔厩舎。目迫師は騎手としては笠松デビューなのですが、当時の笠松は廃止寸前の崖っぷち状態で、騎乗馬にもあまり恵まれず、誇張抜きで食べていけるかどうかの状況。乗り鞍を求めて高知に短期騎乗に行ったら、笠松より多く乗せてもらえた。2008年、意を決して高知に移籍すると、翌2009年、今では「黒船賞」のトライアルとして高知の重賞の中でも特に注目度の高い「黒潮スプリンターズカップ」を勝利する等、笠松時代より活躍。高知は馬を再生するとよく言われますが、騎手も再生しました。同僚の騎手だった森井美香と結婚。2014年引退しましたが、調教師として開業。笠松時代の伝手も頼って何とか4頭集めてのスタートでしたが、今は30頭預かる高知の中堅厩舎。

知る人から聞いたところでは目迫師は性格も真面目らしく、何より苦労人。調べてみると厩舎管理の馬は殆ど塚本雄大騎手を乗せている。他の騎手が乗るのは、2頭出しで片方が雄大騎手のとき。事故当日も目迫厩舎出走の3頭すべて雄大騎手鞍上で、最初の第1レースを勝利。3レース目の第10レースで事故が起こりました。他馬に関係なく馬が体勢を崩し、落馬。「黒船賞」当日も目迫厩舎から出走する6頭のうち、5頭が雄大騎手鞍上の予定でした(1頭は同レース厩舎2頭出しのため別の騎手。1頭は馬の疾病で取消)。12月に元福山でホッカイドウのベテラン松井伸也が短期騎乗に訪れ、一時期目迫厩舎に所属していたときは、さすがに力量差が大きく、セカンドドライバー的な立場でしたが、異常といえるほど騎手のレベルが高いホッカイドウでも活躍している松井を教師に、雄大騎手に学ばせるという意図もあったのでは。師弟二人三脚。どんな師弟関係だったかはわかりませんが、中堅レベルの厩舎が所属馬30頭の殆どすべての手綱を、飛び抜けているわけでもない若い所属騎手に任せているなどというのは、笠松でもありえない。ミホノブルボンエアシャカールを管理したかつての中央の名伯楽・戸山為夫師が、どんな馬でも騎手は所属の小島貞博か小谷内秀夫しか乗せなかったのは有名ですが、それに近いものがあるのか?目迫師の気持ちを考えるとかなり辛い。今を遡ること20年、2004年に中央の竹本貴志騎手がデビューしてわずか15戦目でレース中の事故で死去したとき、師匠の古賀史生師が「この世に神はいない」と嘆いていたという記事を思い出しました。

どうも当日は雨が降って馬場状態がかなり悪かったらしく、それで馬が足を滑らせたのではないか?とも言われています。主催者はどのタイミングでこれ以上は危険だと判断するのか、非常に難しいですが、今後は雨による馬場状態もレース中止の判断材料にしなければならないでしょう。笠松競馬でも昔、事故こそ起こらなかったものの、馬場があまりにひどくてレースの体をなしていない、というのを見たことがあります。

 

黒船賞」の予想を。1400メートル。第5R。16:45出走。

中央勢はサンライズホークが抜けていますが、実は乗り難しいところもある。軌道に乗りじはじめたのは昨夏からですが、このレース、今まで順調だったはずの馬がコケる印象があります。他場よりパワーを要する馬場であることも理由のひとつかもしれませんが、残りの中央勢は横一線。サンライズホークが案外な走りを見せれば、どれが勝ってもおかしくない。

地方勢は地元ヘルシャフトと愛知メルト、兵庫タイガーインディ。ヘルシャフトはトライアルである「黒潮スプリンターズカップ」を圧勝。中央3歳時には「伏竜S」も勝っているのですが、その後故障で1年と半年以上の休養を経て兵庫で再出発しましたがうまくいかず、高知に来て再生した。時々わけのわからないコケ方をすることもあるようですが、「伏竜S」であのテーオーケインズを降した馬。高知で再生し、充実期にある今なら中央勢と渡り合えても不思議ではない。メルトは「かきつばた記念」6着で勝ち馬から1.4秒差だからそれほど大きく離されていないのですが、今回同レース勝ち馬、2着馬、4着馬が来ている。東海でも抜けて強い存在というわけではなく、展開が恵まれても掲示板までか。タイガーインディは「兵庫GT」で9着ながら勝ったサンライズホークから1.2秒差。とはいえハンデ戦で53キロだったのに対し、今回は別定で56キロ。サンライズホークは「兵庫GT」と同じ57キロだから、4キロ差が1キロ差に縮まってしまいました。厳しい。

 

◎8枠11番 ヘリオス(JRA・横山武)

〇4枠4番 サンライズホーク(JRAデムーロ)

▲2枠2番 シャマル(JRA・川須)

△6枠7番 マルモリスペシャル(JRA・田口)

△1枠1番 レディフォース(JRA・長岡)

×6枠8番 ヘルシャフト(吉原)

 

ヘリオスは「かきつばた記念」でサンライズホークに敗れていますが、昨年、一昨年2着という、このレースというより、高知コースでの実績を買いたい。アタマだとどうか?という気はしますが、三連複の軸なら間違いない……はず。

サンライズホークはおそらく逃げてそのまま押し切る肚でしょうが、同型で最内枠のレディフォースがどう出るか。

シャマルは昨年勝ち馬。ところが「かしわ記念」で1番人気に推されて4着に敗れて以降、どうも冴えない。6歳だから老け込むわけでもなし、何かきっかけさえあればかつての力を取り戻せると思うのですが。

マルモリスペシャルは初の「兵庫GT」4着。勝ち馬から0.2秒差だから悪くないし、斤量差も今回変わらず。前走は出脚でちょっともたついた感があり、今回スムーズに出て先行集団にしっかりついていければ、直線抜け出して田口貫太の初のビッグタイトルもあり得る。師匠がチャンスをくれたのだから、それに応えて欲しい。

レディフォースは地方交流ははじめて。地方の馬場と小回りコースにどれだけ適応できるか。サンライズホークをかわしてハナに立てればいうことなしでしょうが、ちょっと難しいか。番手でチャンスを窺うポジションになりそう。

ヘルシャフトは先述したように能力はある馬。今年に入って3戦、特に重賞2戦で強い勝ち方をしている。高知で再生したこの馬が、中央の地方巧者相手にどこまで食い下がれるかが見もの。別定戦で斤量56。中央勢と同じ条件ですが、このレース、ずっと別定戦であるにも関わらず、不思議なくらい地方馬が健闘する印象があります。イグナイター初めての交流重賞勝利もこのレースでした。

 

買い目は11を軸に三連複1、2、4、7、8に流して10点。