粕本集呆の「競馬の花道」

カスPこと粕本集呆と逆神の権兵衛による、日本で唯一、当たらないことを"売り"にしている競馬予想ブログ。

今週は馬券を買いません。

調教師会と、厩務員や調教助手が加入する4つの労働組合との間で、2011年の導入された賃金体系を元に戻すか否かで団体交渉があり、決裂。組合に加入する1342人の関係者がストに入りますが、JRAは非組合員の厩務員に、定年再雇用の所謂「補充員」を駆り出してこれで開催するそうで。

2011年といえば東日本大震災の年ですが、日本全体が不況のどん底に喘いでいた時期でもありました。カルト宗教のシンパだった安倍晋三が「悪夢の民主党政権」と揶揄していた時期ですな。年の暮れに荒尾競馬が廃止となり、2013年に福山競馬も廃止されました。名古屋競馬も存廃問題に揺れ、笠松に至っては3着までしか賞金が入らないという悲惨な状況にあり、結果これが八百長問題の土壌となりました。

しかし地方競馬は馬券のネット購入の環境が整ったことで売り上げが急回復、一方JRAコロナウイルスの蔓延が、外出しなくても馬券のネット購入で楽しめるということで、これも売り上げを伸ばしました。2011年当時のような状況を脱したのだから、賃金体系を元に戻すべきだというのが労組側の言い分。これで想起したのがカルビーのポテトチップスの値上げとそれに対する消費者のネットでの反応。原料の高騰を理由に値上げしたけど、じゃあ原料費が落ち着いたら元に戻すのか?しねえだろ、という話。

また、近年厩務員の早期退職者が増加傾向にあるとか、競馬学校の厩務員過程の受験者が減少しているというのも、賃金体系を元に戻すことを要求する理由なのですが、これについては一概に今の賃金体系だけが理由ではないと思います。厩舎によって厩務員への進上金の分配方法が違っていたりする。担当厩務員に全額、というところもあるし、そういう厩舎は年配の厩務員に走る馬イコール稼げる馬を任せる傾向もありました―年功序列というのもありますが、年配の厩務員は家族にお金がかかるという事情も考慮して―。一方で全額平等に分配するという厩舎もある。それに厩舎によって経営状況も違います。以前は主に美浦で、調教師が経営難で厩務員に給料が払えず廃業、なんてこともありました。今でこそ経営難で「勇退」する調教師は見なくなりましたが、厩舎も勝負の世界に身を置いている以上、勤めている厩務員に格差はあるはず。育成牧場の進化も環境に大きな変化をもたらしているでしょう。労組側が100%分があるかどうかは、何とも言えない。

ただ、私は今週は馬券を買いません。というのも、競馬は何があるかわからないけれど、今回の1000人以上の関係者のストライキと、それに対抗する非組合員総動員に補充員を駆り出してまでの、突貫工事のような強引な開催が、不確定要素としてレース結果に作用する虞があるなら、公正を第一とするJRAは開催を中止するのが筋だと思うからです。例えば慣れないスタッフがパドックで馬をひいた結果、いつもの厩務員だったら気をつける些細なことを、臨時のスタッフは見落とし、結果馬の気持ちの面にマイナスに作用することも有り得る。1番人気グリグリの馬が大敗して、その馬は普段の厩務員がストに入っていて、今まで触ったこともない臨時のスタッフでした、なんてことを馬券を買った人が知ったらどう思うか。まさかそれを表立って敗因に挙げるアホな調教師はいないでしょうが、馬券を買う側はいつもの厩務員じゃないから、と疑ってしまうでしょう。実際にそれが原因だったかどうかはともかく。

馬券がハズれてスト破りの強行開催に理由を求めるくらいなら、手を出さない方が無難かなとも思います。特にメイン重賞は土日ともに3歳馬のレースが中心。まあこれで荒れて一攫千金なるかも、という骨の髄までギャンブラーな人ならいいかもしれませんが、あたしゃそこまでギャンブラーじゃないので。