藤田菜七子騒動の何が凄いかって
普段競馬など
ロクに報じない
ネットメディアが
ここぞとばかりに
藤田を叩きまくる
しかもその記事の多くはコタツ記事特有の「SNS上では」…って、
「SNS上」のどれだけが
まともに競馬やってるんだ?
ヤフコメを覗いてみて思ったのですが、皆こぞって、溺れる犬は棒で叩かないと損、みたいな勢いで藤田を袋叩きにしている。でも、この人果たして普段競馬をやっているのか?と疑問に思うコメントが少なからずあるのですが……
根本厩舎長
って何者?
競馬はよく知らないが、叩く対象が出てきたので、とりあえずそこいらのネット記事を漁って、そこで得た付け焼刃的知識でもっともらしく語っているのがバレバレ。昨今テレビの情報番組にコメンテーターとして出てくる、有識者を気取ったタレント連中と同じなのですが、ヤフコメやSNSで語っている人間は、自分が情報番組に出演しているタレントにでもなった気分なのでしょう。そう思うと、地上波のテレビって案外まだばかにできない影響力を持っている。
—「あかん、言うてんねん」粗品の藤田菜七子騎手への“ド正論”が痛快
と、どこかのネット記事の見出し。あのさ、痛快も何も
粗品って単に
馬券買ってる芸人に
過ぎないから。
彼が競馬ファンたちから喝采を浴びているかのように記していますが、別に彼が何を言おうが競馬ファンにとってはホントどうでもいいので。第一「女性自身」って、競馬関連の記事なんてこれっぽっちも記したことないでしょ?
でもこの粗品って芸人、もし何か不祥事を起こそうものなら
凌遅刑(ググるときはグロ注意)
のような目に遭うんだろうなきっと。当人もそれを覚悟で所構わず吠えているわけだし、その潔さが人気の理由なのかもしれないけれど……。
まず大前提として、藤田菜七子の行為は許されない。厳しい処分を受ける―結局受ける前に引退してしまったが―のは当然。前に記しましたが、公営競技においては「公正」は命。
どれだけ大切かと言えば、競馬のパドックで騎手に対して応援の言葉をかけても、地方競馬場のパドックのような至近距離でも、騎手は聞こえていないかのように一切反応しません。反応したら駄目なのです。下手に手を振ったりしようものなら、八百長のサインと疑われかねない。以前、競馬とは違う公営競技で、それをやってしまい重い処分を受けた選手がいました。内田利雄(浦和)のパドックでの杉良太郎ばりの流し目は有名(?)ですが、これはサービス心旺盛な内田が、ファンへの声援に、目に見える形で応えられないので、代わりにさりげなく流し目を送っているとかどうとか。ただ、以前藤田は藤田でも藤田伸二が現役だった頃、GⅠで藤田に賭けて大負けした知人が、最終レースのパドックで藤田に野次を飛ばしたら思い切り睨みつけられたらしい。そういうのは問題ない(?)みたいで。
まず問題となるのが、昨年4月—他の女性騎手たちが処分を受けたとき―、最初にJRAの職員が藤田菜七子に問い質した際、「外部と連絡を取ったか?」とはっきり口に出して訊いたかどうか。
藤田の方から一方的に「YOUTUBEとツイッターを見ていました」と言い、JRA職員がそれ以上追及せずに「厳重注意」をしたなら、確かに外部に連絡したことを隠したには違いありませんが、ウソはついていない。ただ、職員が「外部と連絡は取っていないか?」と訊き、藤田が「とっていません」と言ったならそれは藤田の虚偽申告になる。悪質さの度合いが変わってくるということです。一応、職員が外部との連絡の有無を質して、藤田が虚偽申告したことになっています。
そこでまた疑問がひとつ。藤田の件を文春が暴露するちょっと前に永野と小林勝が処分を受けましたが、確か最初に判明したのが永野で、そのときの連絡の相手が小林だったと判明したから「芋づる式に」処分対象となった。一方、藤田は厩舎関係者と連絡を取っていたそうなのですが…
厩舎関係者って何者?
調教師なのか助手なのか厩務員なのか。そしてこの人たちは処分されたのか?ちょっと前に美浦村の助手2人が傷害事件を起こしましたが、そのときはJRAは「助手は調教師に雇用されているので」—つまり間接的には関係あれど直接には関係ない、と逃げています。しかしこの藤田の件は刑事事件ではない替わりに、競馬開催の根幹である公正に直接関わる。藤田を処分するなら厩舎関係者も同罪として処分するべきではないのでしょうか?この件までJRAは「処分は調教師に」と逃げるつもりか。
そこでまたまた疑問。藤田はわざわざルールを犯してまで厩舎関係者と何を連絡し合っていたのか?そうする逼迫した必要性が何かあったのでしょうか?また、相手の厩舎関係者は藤田が連絡してきたことを重大な違反と認識して応対していたのか?私が厩務員なら、時間的に「今って調整ルームにいるんじゃないの?」と疑い、一切応答しない。マスコミは藤田を一方的に責めたてながら、相手側の「厩舎関係者」に一切突っ込もうとしない。
「厩舎関係者」ってちょっと前にも耳にしたような。そう、角田大河の一件。自主的にではなく―脅されて無理やり?—二十歳そこそこの角田大河の車の後部座席に乗せられ、コースに入ることを止めることもできなかった謎の厩舎関係者。
JRAはマスコミとの遣り取りで藤田を最初「厳重注意」したことをどうして公にしなかったのかと問われ、「厳重注意」は公表しないと答えていましたが、角田の件は当該厩舎関係者に「厳重注意」をしたとしっかり公表したじゃん。
JRAの説明に出てくる
「厩舎関係者」というのが
実に曖昧で掴みどころがない。
まさかJRAにとって都合の悪い人はすべて厩舎関係者にされてしまうのでは?藤田の件で、彼女の連絡相手が厩舎関係者ではなかったら、彼女が連絡しそうな人で、JRAにとって最も都合が悪いと思われる人物といえば……まぁ、厩舎関係者なんでしょうね。明日乗る馬の状態を確認したかったのでしょうね。大事なことだからもう一回言います。マスコミは藤田を一方的に責めたてながら、相手側の「厩舎関係者」に一切突っ込もうとしない。WHY?
そして最後、
どうして漏れた?
相手側が漏らさない限り全体に白日の下に晒されない事案だし、その相手側は、場合によっては自身重い処分を課されるから迂闊に言えないはず。酒の席で酔った勢いでポロリしたのか?この辺りは文春を読めばわかるのかもしれませんが、私は絶対に読まないので。他の女性騎手云々とひねくれた見方をしている人もいるようですが、あながち一笑にふせない……地方競馬で女性騎手が一場に複数所属し、それが仲がいいという話は聞いたことがない。単に私が聞いたことがないだけ…と信じたいのですが。
この一件、確かに藤田菜七子は悪い。重い処分を受けて然るべき。でもひとつ嘘をついたに過ぎない。所謂「魔が差した」だけ。その嘘が公正を害する重大な過ちであることは承知のうえで、
普段競馬と縁遠いメディアにまで
どうしてここまで責められる?
競馬を知っているかどうか
怪しいネット民どもに
どうしてここまで叩かれる?
公開処刑かよ?
私は藤田を殊更擁護するような「競馬ラボ」の記事を批判しました。あの記事は結果的に間違っていましたし、それを抜きにしても競馬メディアとしてNGだと思っていますが、それでも今のマスコミ連中よりはマシ。マスコミやネット民ほど藤田を責める気にはなれませんし、そこまで私は正義の人間ではない。昨今のイスラエルのやっていることが「民族浄化」ではないかと責められていますが、「浄化」という言葉は浄める―汚れたものを取り除くという、やっている側は主観的には正義を実行しているつもり。これほど不気味な言葉はない。もし粗品が何か不祥事をやらかしたら、凌遅刑のような目に遭うんじゃないか?とブラックジョークを記しましたが、肉を切り落とす人たちは、自分が正義を行っているのだと思い込み、カタルシスに浸る。マスコミやネット民どもは根本調教師まで責めていますが、どうして根本師が責められる?じゃあ角田大河の師匠だった石橋守師は?永野の師匠の伊藤圭三師は?小林勝の師匠の小野次郎師は?根本師は、前の弟子は同僚の私物を盗んで追放されたし、ホント弟子には恵まれなかった。甘かったという誹りは免れないでしょうが、男ならともかく、若い女性騎手のどこまで踏み込めるか?ある程度は信じるしかない。私は根本師は一切責める気にはなれない。
ふわちゃんとか斉藤慎二についてはそもそも知らないし興味がないので余りピンときませんでしたが、藤田についてはなまじ知っているだけに、こうしたマスコミの一連の記事を読むと、吐き気がしてくる。しかも普段マスコミのことを「マスゴミ」だとか言っている連中が、面白いように乗せられている。引退後競馬関係の仕事は一切できないかもしれないなんて、引退後の彼女の境遇まで執拗に突っついてくる「AERA」って、朝日新聞の系列でしょ?朝日新聞は何かあると殊更人権を持ち出しながら、週刊誌—しかもネット記事のレベルになればその限りではないらしい。私は産経は嫌いですが朝日が好きなわけでもない。しかし今後は朝日も疑ってかからないとどう操られるかわからない。ネットでの「誹謗中傷」がどうとか言われていますが、国政や県政を担う公人でもなければ、刑事罰に触れたわけでもないのに、咎を犯せば果てしなくどこまでも追い詰めていいのか?
一方で某最大手競馬サイトなんかは、最初から藤田菜七子などという騎手は存在していなかったかのような扱い。擁護できないとはいえ、これはこれで薄情な気がする。それまでは何だかんだと持ち上げていたのに。極めつけはJRA。イメージアップに利用するだけ利用して……結局さんざん持ち上げて競馬界のヒロインに仕立て上げたマスコミやJRAが、彼女に虚偽申告をさせてしまったのではないか?ここで正直に言ってしまえば今までのイメージがすべて崩れてしまう、と彼女を怖れさせ、許されない過ちを犯させた。虚偽申告が露見して号泣したのは、バレたことそのものより、待ち構えている重い処分より、今まで築きあげた―というより、周囲の人間たちによって作り上げられた、虚像も含まれた美しいイメージが一挙に瓦解してしまったからかもしれません。そうなった以上、もう競馬界に彼女の居場所はなく、引退届を書く以外に途は残っていなかったのです。